仕上げ編(後編)
次は天井材の施工です。

ダイケンのソフトーンと呼ばれるロックウールでできた天井材なので吸音性能もあります。

ソフトーンはリブと呼ばれるひっかかりが縁についていてそこをタッカーで止めて固定するのですが当然それだけではだめなのでボンドを併用します。

最初普通のボンドを塗ったらみるみるうちに天井材に吸収されていき使い物になりませんでした。ロックウールは水分を吸収してしまうようです。

防音ドアをつくるときに間違えて購入したコンクリボンドの箱の裏を見ると「天井材などの接着」に使えると書いてるじゃないですか!

これぞまさにケガの功名

というわけでコンクリボンドをつけて固定したところ見事に接着してくれました。

さらっとしたボンドはロックウールが吸い取ってしまうからだめみたいですね。コンクリボンドはパテみたいにどろどろしてるので吸い取られることはありません。

天井の施工完了。

着々と綺麗な部屋になっていきます。

壁際はリブがないので直接天井材の上からタッカー打ちしてるので見栄えが悪いのでなにかでカバーしないといけないです。

天井材を貼る前にブースで大声をだしたら酷い残響音(おそらくフラッターエコーが原因だと思われる)だったのですが天井材をはっただけで残響が聴感上半分に減りました。結構すごい効果で感心しました。

モールと呼ばれるプラスチック製の化粧枠材が売ってたので買ってきました。

角は45度にカットして写真のように張り合わせると綺麗に仕上がりますよ。

床の仕上げはカーペット仕様にします。

フローリングは吸音性がないのでカーペットのほうがブースには適していると思います。

東リのアタックという定番カーペットを使用しましたが、厚みがありしっかりとした感じでなかなか良かったです。LL-45の防音性能があるそうな。

パーティクルボードの上に施工するには接着剤で固定しなければいけなかったので、それだと洗濯や交換ができないし、もし飲み物をこぼしたときにパーティクルボードだと内部にしみ込んでしまうので薄い化粧ベニヤを捨て貼りしました。

表面がつるつるなので東リのカーペット専用のAKシールと呼ばれる何度でも貼ったり剥がしたりできる両面シールで固定しました。

うちのスタジオは機能性とデザイン性を両立させるというのがコンセプトなのでカーペットも写真のような感じにしてみました。

単色で統一するよりもいい感じです。

カーペットをとりつけた段階で残響チェックしましたがなんとか録音で使えそうなくらいまでデッドになっていました。

あとは吸音パネルで微調整するくらいですみそうです

二重サッシの取り付けです。

トステムのインプラスという内窓を採用しました。施工はとても簡単でした写真のようにクリーム色の枠を四辺ネジで固定するだけです。

固定するときにインプラスの枠と木製の窓枠との間にコーキング剤をぬっておくと密着度がましてすき間がなくなるので防音性能の向上に微妙に貢献してくれます。

ガラス戸をとりつけました。

ガラスはラミシャットと呼ばれる合わせガラスで高い遮音性能があるそうです。

普通の安価なアルミサッシで採用されているガラスは3mmくらいの厚みなんですがラミシャットは6.8mmもあります。しかも真ん中に特殊なプラスチック層がはさみこまれており遮音性能をアップさせているということです。

しかしながら引き違い方式のアルミサッシは絶対にすき間が生じるのでガラスをどれだけ分厚いものしても効果が少ないという人もいます。僕も実際に取り付けてみてそう感じました。

ケーブル類をとりまわす穴には白いモールで縁を飾ったのちにその周囲をゴムスポンジで囲みます。

写真のオレンジの部分がCD管なのですがここはエアコン穴用のパテでふさぎます。エアコン穴用パテは固まらないので何度でもつかえます。

パテでCD管のすき間をふさぐだけで十分なんですが見栄えが悪いのでフタをつくってみました。ベニヤ板と遮音シートのサンドイッチ状態で構築されています。端はモールで飾りづけ。

ネジで四隅をしめるとゴムスポンジがぎゅっとおされる感じになりフタと密着します。

残響音をコントロールするための吸音材はリハスタなどで良く見られるグラスウールボードを使用しました。

SONEXなどに代表される吸音材は効果は大きいのですが値段も驚くくらい高いので今回はこれを使用しました。

このグラスウールは96Kの面密度なのでかなり吸音性能は高いです。それでいて値段は一枚2000円強というリーズナブルな価格。3枚買ってみましたが、この小さなブースには3枚もあれば十分でした。2枚でもいいかなと思うくらいです。

グラスファイバーで覆われているだけの味もそっけもないパネルなのでイームズのファブリックでも買ってカバーすることにします。

パネルそのものはとても軽いのでじゅうたんを止める足の長い画鋲でとめています。

出来上がりだ〜とおもったのですが、一晩電気をつけっぱなしにして窓をあけていたら当然ですが虫がたくさん侵入していました。

このまま放置できる性格でもないので、あまったモールをつかって即席網戸を製作しました。

写真ではわかりにくいですが縦に細長く切った網をモールに固定して、モールはマジックテープを接着して脱着可能な網戸になっております。

とりあえずいまのところ虫は入ってきていません。

2004年の4月からはじめて6月までにおよぶボーカルブース製作もようやく完成をむかえました。

実際の労働時間が120時間ほどで、買い物にでている時間が35時間ほど、あとwebなどで情報を調べたりDIYの勉強をしている時間が15時間くらいかかったので合計170時間は費やしたことになります。

ファイナルファンタジーX2をプレイした時だって100時間だったのにそれを上回る時間ですね。ゲームは体力を使わないでいいですが今回の170時間は本当に辛い時間でした。(もちろん楽しさもありましたが)

ところで今回の工事をプロに頼んだとしたらどれくらい費用かかるのかその方面で仕事をしている知人に聞いて見たら少なく見積もっても100万はかかると言われました。そしてそれは防音専門の大工ではないので防音の知識を有する業者に頼むと120万くらいはいくかもしれないと言うことです。

かかった総費用は結局30万円でした。内装に気を使いすぎて予算をだいぶオーバーしてしまいました。それでも市販の防音ブースにくらべたらまだ安いんですけどね。それでもなるべく安くすませるためにヤフオクなどを活用していますのですべて定価や市場平均価格で買ってしまうともっとかかることでしょう。

今回の労働を時給に換算してみました。

 業者に頼んだ場合の工賃(120万円)ー 材料費など(30万円)÷ 労働時間(170時間)

ということででた労働の時給は 5294円 でした。

これだけの時給で働いたと思えばあの辛い労働も報われることでしょう。。

ということで、時給5294円以上を稼ぎ出すような売れっ子ミュージシャンは自作なんてせずに迷わずプロの業者に頼んだほうが賢明だってことが身をもって証明されました(笑)

しかしながらただ単に5294円の時給で働いたという価値以外にも大工の技術や知識、防音の基本的な知識などを学ぶことができたので本当に有意義な作業だったと思います。たまたま近所にコーナンproがあったので買い物も気軽にいけました、20回くらいは足を運んだことでしょう。。コーナンの100円自動販売機のミロを飲むのが楽しみでした。木材カットのおっちゃんにも顔を覚えられました。雨の中、原チャリを飛ばしたこともありました。とにかくたくさんの思い出が残りました。何かを作り上げるというのは本当に大変なことですね。

最後になりましたが、ほぼ素人の僕がこんな本格的な工事ができたのもアコルトさんのおかげです。本当にいろいろご教授ありがとうございました。

SPECIAL THANKS

防音専門ショップ有限会社アコルト 、コーナンpro菅原店、すーみん、父、母、姉、兄、ikura

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